インプラント
女性に多いインプラント治療
インプラント治療とは、歯を失ってしまった部分に人工の歯根を埋め込み、その上に人工の歯を取り付けることで、まるで自分の歯のような見た目と噛み心地を取り戻す治療法です。従来の入れ歯やブリッジと異なり、周囲の歯を削ったり、取り外したりする必要がないため、機能的にも審美的にも優れた方法として注目されています。インプラントに使われる人工歯根には、チタンという金属が用いられます。チタンは骨と非常に相性が良く、体内で拒絶反応を起こしにくいという特性を持っています。このチタン製の歯根が顎の骨と一体化することで、自然の歯とほとんど変わらない安定感と強度を実現できるのです。
食事の際にも違和感が少なく、硬いものをしっかり噛むことができるため、「まるで自分の歯が戻ってきたようだ」と感じる方が多くいます。見た目も自然で、美しさを重視する若い世代や女性からの支持も高い治療法です。特に前歯など、人目につきやすい部位での欠損には、インプラントが最も自然な仕上がりを提供します。
インプラントの歴史をたどると、その起源は古代ローマやマヤ文明にまでさかのぼります。当時は貝殻や金属などを歯の代わりに埋め込む試みが行われていたと伝えられていますが、現代のように科学的根拠に基づく治療が確立されたのは1960年代のことです。スウェーデンのブローネマルク博士が、偶然にも「チタンが骨と結合する」現象を発見したことから、現代のインプラント技術が誕生しました。この「オッセオインテグレーション(骨結合)」という現象が、現在の安全で長持ちするインプラント治療の礎となっています。
ただし、インプラント治療には高い技術と慎重な計画が必要です。人工歯根を埋め込む外科手術を伴うため、骨の量や質、全身の健康状態などを事前に詳しく検査する必要があります。特に顎の骨が薄い、または骨質が弱い場合には、骨を補う「骨造成」や「骨再生治療」を併用することもあります。これにより、より安全で長期的に安定したインプラントを支える環境を整えます。
治療期間は、骨とインプラントがしっかり結合するまでに数か月かかるのが一般的です。そのため、入れ歯やブリッジに比べて治療完了まで時間がかかります。また、費用も他の方法より高額になる傾向がありますが、その分、機能性・見た目・耐久性のすべてにおいて優れています。しっかりと噛む力を回復できるため、食生活の質が向上し、全身の健康維持にもつながります。
実際、歯科医師の中でも「自分が歯を失ったらインプラントを選ぶ」と答える人が多いと言われています。それほど信頼性が高く、患者の満足度も高い治療なのです。もちろん、手術を伴うため慎重な検討は必要ですが、条件が整えば非常に優れた選択肢といえるでしょう。インプラントは単なる「歯の代わり」ではなく、人生の質を取り戻すための治療法なのです。
インプラントは第3の歯
インプラントは、乳歯・永久歯に続く「第3の歯」と呼ばれるほど、自然な見た目と使い心地を実現できる治療法です。人工歯根を顎の骨に直接埋め込むため、まるで自分の歯のようにしっかり噛むことができ、発音や食事の感覚にも違和感がほとんどありません。そのため、インプラントを入れた多くの人が「まるで自分の歯が戻ってきたようだ」と実感しています。
人が食べ物を「おいしい」と感じるとき、その感覚は舌だけではなく、歯茎や上顎、口の中全体で得ています。しかし、総入れ歯の場合は上顎や下顎の粘膜の上に樹脂の板が張り付き、口の中が異物で覆われた状態になります。そのため、食べ物の温度や質感、食感を感じ取りにくくなり、「味がわからなくなった」「食事が楽しくない」と感じる人も少なくありません。さらに、入れ歯は外れたり、ズレたりする不安もあるため、人前で食事や会話をすることに抵抗を感じてしまう場合もあります。
一方、ブリッジは、失った歯の両隣の健康な歯を削って支えにする治療法です。見た目は自然ですが、支えとなる歯に大きな負担がかかり、年月を経るとその歯が弱ってしまうリスクがあります。結果として、支えの歯まで失ってしまい、さらに広い範囲の治療が必要になるケースもあります。
それに対してインプラントは、周囲の歯に負担をかけず、顎の骨にしっかり固定されるため、自分の歯のように安定した噛み心地を得られます。また、噛む刺激が骨に伝わることで、顎の骨が痩せるのを防ぐ効果もあります。つまり、見た目の美しさだけでなく、口全体の健康を守る上でも大きなメリットがあるのです。
もちろん、インプラントは手術を伴う治療であり、治療後も定期的なメインテナンスが欠かせません。しかし、適切なケアを続ければ10年、20年と長く機能し、患者さんの生活の質を大きく向上させることができます。インプラントは、単に失った歯を補うだけではなく、「再び自分の歯で生きる喜び」を取り戻すことができる、それくらい素晴らしい治療法なのです。
インプラントの種類
サファイアインプラント
特徴:人工サファイアを顎骨に埋め込むと、人工サファイアと骨の間に膜のようなものができる。一時期はこの膜が歯根膜の役割を果たすのではないかと言われていたが、実際は全く違った。強度の問題点もあり、ほとんど使われなくなった。
ブレードタイプ
手術の流れ:小さい板のような形状。歯茎を切開して顎の骨を露出させ、その骨を削って溝を作り、インプラントを差し込む。
特徴:この溝を作るところが現在の主流となっているインプラント手術との大きな違い。不安定な形状、インプラントが骨の中に沈み込んでしまう不具合などの点で今は衰退。
シリンダータイプ(スクリュータイプ)
手術の流れ:歯茎を切開し、骨にドリルで穴を開ける。その穴にインプラント体(フィクスチャー)をねじのように埋め込む。そしてインプラント体の上に土台となる軸(アパットメント)を装着し、義歯(上部構造)を被せる。
特徴:歯肉を切り開いて顎骨を露出させない「無はく離法」や、インプラントの埋め込みと支柱を立てる手術を一度で済ませる「1回法」という手術がある。